フランス料理を文字で楽しむ!オススメ本『タルト・タタンの夢』

フランスを感じるおすすめ本

Salut (こんにちは)!

フランス在住アラサー女子のShoko(@shoko_france)です。

フランスに行きたくてウズウズしていた東京OL時代、会社帰りに駅の本屋さんにフラっと立ち寄って、フランス関連の本を漁るのが趣味でした。

そんな私が「フランスの風を感じられる」オススメ本をご紹介しています。

今日の1冊は、

近藤史恵著『タルト・タタンの夢』です。

フランスや語学ネタと絡めて、極力ネタバレを避けた感想となりますので、未読の方でも大丈夫かと思いますが、心配な方は小説を読了してから、読み進めてくださいね♪

この本との出会い

まずこの本との出会いですが、行きつけの本屋さんの文庫本コーナーを眺めていたときに、ふと目に入ったのがこの「タルト・タタン」と書かれた背表紙の文字でした。

タルト・タタンというのは、キャラメリゼしたりんごの上にタルト生地をかぶせて焼いたフランスの代表的なお菓子の1つ。

学生時代、ホームステイ先のおばあちゃんが作ってくれたなぁ。

と、私のフランスセンサーが反応しました。

手に取っておもて表紙を見ると、左上に “Un rêve de Tarte Tatin”とフランス語で書かれています。

Un rêve:夢

de~:~の

Tarte Tatin:タルトタタン

うん、そのままタイトルの「タルト・タタンの夢」だ!

これは、フランスの風を感じられる小説に違いない!と思い、即「ジャケ買い」をしたわけです。

あらすじ

フランス料理屋「ビストロ・パ・マル」は、フランス修行帰りの三舟シェフ、スーシェフ(副料理長)の志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソン(給仕)であり、この物語の語り部である高築の4人が働く、気取らないフランスの家庭料理が人気のこじんまりとした小さなお店。フランス料理好きが集まるこのお店で、客が持ち込む不思議な謎を、無精ひげの変わり者、三舟シェフが、料理の知識に絡めながら鮮やかに解決するミステリー短編集。

感想

「ビストロ・パ・マル」の店名の意味

フランス語をかじったことのある方なら、まずこの店名を見て「ん?」となるかもしれません。

フランス語表記だと“Bistrot Pas mal”となりますね。

「ビストロ(bistrot)」は、一般的に定番フランス料理をカジュアルな雰囲気で提供する飲食店のことを指します。

店名の”Pas mal”は直訳すると「悪くない」という意味になります。

お話の中でも、給仕係の高築「ぼく」は、店名に関して以下のように触れています。

三舟シェフに関して、ぼくが抱いている印象は、なにより「変わった人」である。なんたって、自分の店に<悪くない>なんて、名前をつけてしまうような人だから。

この”pas mal(パ・マル)”、フランスでもよく聞く表現なんですが、「悪くない」だけでなくむしろ「いいね」のニュアンスでも良く使われるように感じます。

フランス語はあえて「否定形」を使って反対の意味を指すことが多いんですよね。

わかりやすい例だと、「(金額が)高い」はcherですが、「安い」はpas cherというようにわざわざ「高くない」という表し方をします。

以外と褒めるときにも使う”pas mal”ですが、以前フランス人の子供が描いた絵に対して、褒めるつもりでPas mal!と言ったら、子供本人に「pas malじゃないよ、excellentだよ」と訂正されたことがあります(笑)

「素晴らしい!」と絶賛する場合には、excellentとかmagnifiqueのようなストレートな表現を使うのが良いですね!

今回の店名ももしかすると「悪くない、むしろけっこういい」位のニュアンスに近いのかもしれません。

まあ、どちらにしろお店の名前にするにしてはどうだろう…という気はしますが(笑)

三舟シェフのフランス修行時代

この「ビストロ・パ・マル」はシリーズ化しており、現時点(2021年8月)では3冊発売されています。

三舟シェフのフランス修行時代のエピソードは、1巻の「タルト・タタンの夢」ではまだ多く語られていません。

1巻で語られるのは、当時フランス人の同僚が名前から勝手に「三船敏郎」の親戚かなにかだと勘違いし、「サムライの子孫」と言われるようになり、外国人として舐められないためにも、無精ひげに長髪の風貌になった、ということくらいでしょうか。

フランスでは、実際に現地で修行されている日本人シェフやパティシエの方と知り合う機会も多いです。

そうでなくても上下関係が厳しい世界かと思いますが、さらに異国で言葉や環境も違う中、外国人が仲間として認めてもらい、対等に渡りあうというのは、本当に大変なことなんだろうな、と感じます。

話の筋にはまったく関係ないのですが、個人的にはフランスでの名札を「MIFUNÉ」と表記しているのが、芸が細かいな~と感じました。

というのも、日本語のアルファベット表記「MIFUNE」だと、フランス人の多くはフランス語のスペルルールに従って「ミフヌ」と読んでしまう確率が高いからです。

「É」というように、Eの上にアクソンがつけると「エ」と読ませることができるんですね。

誰目線なのか自分でも謎ですが(笑)よくわかっていらっしゃるな~と嬉しくなりました。

フランス家庭料理とヴァン・ショー

さまざまなフランス料理が登場するのもこの作品の魅力のひとつ。

細かい料理の描写が想像力を掻き立てるので、お腹が空いているときに読むのは危険!(笑)

一般的に想像するザ・フレンチな定番料理だけでなく、地方の家庭料理をたくさん紹介してくれるのも好きなポイントです。

例えば、アルザス地方の「タルト・フランベ(Tarte flambée)」。

パン生地を薄くのばし、そこにフロマージュブランと玉葱やベーコンを載せて、オーブンでかりかりになるまで焼く。アルザス地方では、前菜だけではなく、スナックとして食べることも多いらしい。

実際にアルザス地方を訪れたときに、友人のおうちでご馳走になったのですが、薄いピザのようなサクサクした軽い食感で、シンプルで素材の味が引き立ってとっても美味しいんですよ~!

そして、毎回のように登場する「ヴァン・ショー(vin chaud)」いわゆる「ホットワイン」。

赤ワインをお湯で割り、そこにオレンジの輪切りとクローブ、シナモンを加えて出来上がり。

この1文を読むだけで、むわっとたちこめる赤ワインとシナモンの香りが伝わってきますね。

デュラレックスの耐熱グラスに入れて出されるのが、またフランスっぽい!

個人的には、手足がかじかむ寒さの、パリのシャンゼリゼ通りのクリスマスマーケットの屋台で飲んだヴァンショーがとっても美味しくて印象に残っています。

ワインを温めることでアルコール分は飛ぶので、お酒が弱い人にもオススメです。

フランスのスーパーでは、赤ワインに混ぜて温めればOKみたいな、ヴァンショーの素(?)も売っているので、お土産にもいいかも。

全体の感想

さて、ジャケ買いで読み始めた小説でしたが、期待通り「フランスの風を感じられる」作品だったのでしょうか。
答えは、ほぼほぼウィ(イエス)!
舞台が日本のフレンチ料理屋さんで、登場人物もほぼ日本人なので、さすがに現地の「フランスの風」とまではいきませんでしたが、少なくとも「フランスの匂いや味を感じられる」作品で、個人的にはフランスっぽい気分に浸れました。
私実は、比較的感受性が強い方で、フィクションの小説や映画であっても、けっこう影響を受けてしまうタイプなんですね。
暴力シーンがあったり、救いのない悲しすぎるストーリーは、あとで引きずってしまい、自分のメンタルがやられてしまうので(汗)なるべく避けるようにしています。
この作品はカテゴリーとしては、ミステリー小説に入るかと思いますが、おどろおどろしい殺人事件や悪意がむき出しになるような事件は起こらないですし、ほっこりとするお話が多いので安心して読めます。
短編集なので、スキマ時間にも読みやすい!
まさに、三舟シェフの料理のように、本格フレンチ程気取らずサクッと楽しめる小説ですね。
寒い日におうちでぬくぬくヴァンショー片手に読んでみてはいかがでしょうか。


ちなみに、2021年5月に、西島秀俊さん主演で『シェフは名探偵』というタイトルでドラマ化もされたそうです。

ちらっと予告編を見てみたら、舞台のビストロ・パ・マルの雰囲気が私の想像そのままで、感動!

こちらもぜひチェックしてみたいですね。

それでは、今日はここまで。

A bientôt!(またね)

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