DELF B2のProduction orale(口頭試験)では、一体どのような力が求められているのでしょうか?
B1の試験でもテーマに沿った発表が求められますが、B1とは何が違うのでしょうか?
「自分の意見を言えるようにする」
「難しい語彙や文法を使えるようにする」
「とにかくたくさん話す練習をする」
もちろん、どれも大切なことです。
しかしB2では、自分の意見を伝えるだけではなく、テーマについて論理的に意見を展開し、具体例を挙げながら主張を支えたり、試験官との議論の中で自分の立場を説明したりする力も求められます。
この記事では、France Éducation international(FEI)が公表している公式の評価基準をもとに、DELF B2 POの試験で試験官が見ているポイントを、DELF採点・試験官資格を持つ講師の視点から、詳しく解説します。
これからB2を受験する方は、ぜひ自分の現在の力と照らし合わせながら読んでみてください。
試験内容と配点
B2のPOは、新聞記事の抜粋のようなテキストを読み、そのテーマについて発表を行うというもの。
まず最初に使用するテキストを2つ引き、30分でどちらか1つのテキストを選択し、発表の準備を行います。
発表後は試験官との質疑応答タイムとなります。
- 準備時間:30分
- 試験時間:約20分
- 配点:25点満点(合格必要最低点5点)
- Monologue suivi 発表
所要時間:5~7分 -
与えられたテキストから、テーマに沿ったproblèmatique(問題提起)を設定し、自分の意見を述べます。
- Exercice en interaction 質疑応答・議論
所要時間:10~13分 -
発表内容に基づき、試験官から投げかけられる質問や反論、コメントについて、受け答えをします。
採点基準
DELF/DALFを運営する”France Éducation international(FEI)”が公表している公式の評価表をもとに、詳しくみていきましょう。
- 評価表:France Éducation international, DELF B2 – Grille d’évaluation de la production orale
- 評価表解説:France Éducation international, DELF B2 – Explication de la grille d’évaluation du DELF B2 (production orale)
- 到達度目安:France Éducation international, DELF B2 – Descripteurs de performance de la production orale
採点項目
採点項目は大きく分けて、
- 課題の遂行能力 (Compétences pragmatique et sociolinguistique)
- 言語能力 (Compétences linguistiques)
の2つに分けられます。
①では、発表と質疑応答それぞれの遂行能力、②では全体を通して、語彙・文法・発音の3項目が総合的に評価されます。
| 評価カテゴリー | 採点項目 | 採点ポイント |
|---|---|---|
| 【課題の遂行能力】 | 発表 | – テキストのテーマに沿って、明確な問題提起(problématique)ができる – 問題提起に対する自分の立場・意見を明確に示せる – 根拠のある議論を展開し、適切な具体例で補強できる – 譲歩表現などを使って意見にニュアンスを加えられる – 接続詞(même si, toutefois, en conséquence, du fait deなど)を使いながら、論理的に話を構成できる |
| 質疑応答・議論 | – 試験官からの質問を受けて、自分の意見をさらに詳しく説明したり、ニュアンスを加えられる – 試験官からの反論に適切に対応できる – 自分の立場を理由を示しながら守ることができる – 必要に応じて相手の意見に譲歩したり、自分の意見を修正することができる | |
| 【言語能力】 | 語彙 | – テーマや状況に合った十分に幅広い語彙を使える – B2レベル相当の正確な語彙を使える – 同じ表現だけに頼らず、ある程度多様な語彙を使える – 必要な単語が出て来なくても、同義語や別の表現で言い換えることができる – 複雑な内容を表現するときも、コミュニケーションが妨げられない |
| 文法 | – B2レベル相当の文法や構造を使える – 単文だけでなく、複雑な文も組み立てられる – 自分の考えを詳しく説明したりニュアンスを加えたりするために、多様な文法構造を使える – 同じ文法ミスを繰り返していない – 基本的な文法で間違えた場合、自分で気づいて訂正できる | |
| 発音 | – 明瞭な発音で話せる – 発音ミスが多少あっても、内容の理解を妨げない – 長く複雑な内容でも、ある程度流暢に話し続けられる – 聞き手が特別な努力をしなくても、無理なく理解できる |
Monologue suivi 発表
正確にテキストのテーマや筆者の主張を理解し、問題提起を自分で行う必要があります。
発表の内容はこの問題提起に左右されますので、わかりやすく、かつ自分が発表しやすい問題提起を設定しましょう。
論理的に話を展開したり、アイデア同士の関係性をわかりやすく示す必要があるので、使えそうな接続詞はひととおり確認しておくのが良いですね。
テキストの紹介と発表プランの発表はマストではありません。(伝わりやすいプレゼンの型を学ぶために、レッスン内では推奨しています)
Exercice en interaction 質疑応答・議論
B1のPartie 3の質疑応答では、個人的な経験を聞くような質問が多いですが、B2では発表内の意見に対する質問や反対意見を投げかけられることが多くなります。
試験官から反対意見を受けた際に、適切に対応できるかどうかが、このパートでは大切になってきます。
相手の反論を受け止めた上で、自分の意見をさらに補足したり、修正したり、さらに強く主張する力が評価されます。
譲歩や補足、ニュアンスを加える表現などもしっかりチェックしておくといいですね。
語彙
難しい単語をたくさん知っていればいいというわけでもなく、自分の意見を正確に伝えるために、適切な表現が使えることが大事です。
フランス語は繰り返しを避ける言語ですので、なるべく同じ単語や表現を繰り返さずに、言い換えができるとポイントが高いです。
ただし、テーマによって自然に繰り返されるキーワードに関しては、言い換えができなくても問題ありません。
単語が思い出せなくても、そのまま話が止めず、別の表現でどうにか言い換えることができないか?と日頃から意識してもらうといいかもしれません。
文法
B2では、文法テキストに掲載されている基本文法は網羅していることが前提となります。
また、単純な短い文だけでなく、複数の文をつなげながら、理由・結果・条件・仮定・譲歩など表現できるようになると良いです。
ただし、難しい文法を無理に使うことが目的ではありません。自分の意見を伝えるときに必要なものを逆算して、文法の復習を行うのがオススメです。
うっかり文法ミスが発生したからと言って、必ずしも減点にはつながりません。ミスそのものより、同じミスを繰り返していないか、また基本的なミスを自分で気づいて言い直せるか、というのも評価されます。
発音
多少の発音ミスや母語のアクセントは、そこまで問題になりません。
大切なのは、発音の誤りによって内容の理解が妨げられないことです。
B2では、発音の正確さに加えて、ある程度の流暢さも評価対象となります。
各項目の配点
それぞれの採点項目の配点は、「無回答・内容不十分」「B2未満」「B2」「B1+」の4つに分けられます。
| 採点項目 | 無回答・内容不十分 | B2未満 | B2 | B2+ |
|---|---|---|---|---|
| 発表 | 0 | 1 | 3 | 5 |
| 質疑応答・議論 | 0 | 1 | 3 | 5 |
| 語彙 | 0 | 1 | 3 | 5 |
| 文法 | 0 | 1 | 3 | 5 |
| 発音 | 0 | 1 | 3 | 5 |
- 無回答・内容不十分
-
発言内容が短すぎて、採点不可、もしくは趣旨から完全に外れている場合。受験レベルを大きく下回るレベル(A2以下)の場合。
- B2未満
-
どちらかというとB1に近いレベルの場合
- B2
-
B2レベルに最低限相当しているが、まだ完全とは言えない場合。
- B2+
-
B2レベルに十分に達している、もしくはそれ以上のレベルの場合。
もちろん試験官も人間なので、採点にブレが生じる場合もありますが、最終的な点数は、試験官2人の合計点の平均点なので、基本的にはフェアな点数がつくかと思います。
採点ポイント
それぞれの採点におけるポイントをより詳細に見ていきます。
Monologue suivi 発表
- B2未満
-
- 明確に示されていなくても、テーマを把握できる
- 個人的な経験に触れながら、簡単に自分の意見を述べることができる
- 複雑な意見を言うときに、構成や明確さが不十分な場合がある
- B2
-
- 短いイントロで、テキストから導き出した問題提起が提示できる
- 具体的な根拠を挙げながら、自分の意見を述べることができる
- 自分の主張を支えるために、適切な具体例を提示できる
- 接続表現を使いながら、全体としてよく構成された発表ができる
- B2+
-
- テキストから問題提起を導き出し、分かりやすい導入で発表を始められる
- 多くの論拠を展開し、適切な具体例で自分の意見を裏付けられる
- 接続表現を使いながら、明確かつ流暢で、よく構成された発表ができる
Exercice en interaction 質疑応答・議論
- B2未満
-
- 試験官からの質問や反論に簡単に答えることができる
- 個人的・日常的な話題から離れると、対応が難しくなる
- B2
-
- 追加の具体例を挙げながら、自分の意見を述べたり、主張したり、ニュアンスを加えたりできる
- テーマに関する試験官からの質問や反論に対応できる
- B2+
-
- 必要に応じて話題を広げ、新しいアイデアを取り入れながら議論を発展させられる
- 試験のテーマから少し離れた内容であっても、相手の主張に説得力をもって対応できる
Lexique 語彙
- B2未満
-
- 簡単な語彙は正確に使える
- 社会的なテーマについて話すには語彙の幅が不十分
- 複雑な考えや単語を表現するとき、別の言い方で説明できる
- B2
-
- 自分の関心のある分野や、一般的な社会問題について、幅広い語彙を適切に使える
- 繰り返しを避けるために、表現を変えることができる
- 語彙のミスがあっても、理解を妨げない
- B2+
-
- さまざまな分野について話せる非常に幅広い語彙を持っている
- 単語が出てこない場合でも、類義語や別の言い方を使って自然に補える
- 語彙のミスがあっても、繰り返し起こるものではなく、まったく理解を妨げない
Morphosyntaxe 文法
- B2未満
-
- 基本的な文構造や文法が使える
- 複雑な文構造や文法も、ある程度正確に使える
- より複雑な考えを表現しようとすると、正確さが維持できない
- B2
-
- よく使われる複雑な文構造を適切に使いこなせる(バリエーションはまだそれほど多くなくてもよい)
- 高度な文構造や文法でミスがあっても、誤解を生まない
- B2+
-
- 全体として文法をしっかり使いこなせている
- 文法のミスがあっても、繰り返し起こるものではなく、まったく理解を妨げない
Maîtrise du système phonologique 発音
- B2未満
-
- 発音は全体として理解できる
- 頻出表現や単語は正確に発音できる
- イントネーションやアクセントに不自然さが残る
- B2
-
- 全体として適切なイントネーションで話せる
- アクセント(強勢)を適切な位置に置き、音を明瞭に発音できる
- 多少発音に難しさがあっても、全体の意味や相手とのコミュニケーションを妨げない
- B2+
-
- 発音をしっかりコントロールでき、自分で間違いを訂正できる
- 伝えたい内容に応じて、イントネーションやアクセント(強勢)を変化させられる
- 外国語訛りが残っていても、内容の理解にはまったく影響しない
こちらを見てわかるように、B2レベルであっても、「まったくミスをしない」ということが求められているわけではないんです。
うっかりミスがあったとしても、自分でちゃんと気づけるか、そして何よりコミュニケーションの妨げにならない、という部分が重要視されています。
まとめ|採点基準を知って、B2合格に必要な力を身につけよう
今回は、DELF B2 Production oraleの採点基準について詳しく解説しました。
B2では、ただ自分の意見を伝えるだけではなく、問題提起に沿って論理的に意見を展開し、理由や具体例を使って主張を支える力が求められます。
また、発表だけでなく、試験官からの質問や反論に対応しながら、自分の意見を補足したり、ニュアンスを加えたり、議論を発展させたりする力も重要な評価ポイントです。
一方で、B2だからといって「難しい単語や文法をたくさん使わなければならない」「一度も間違えてはいけない」というわけではありません。
公式の評価基準を見ても、多少の語彙・文法・発音のミスがあっても、コミュニケーションを妨げず、自分の考えを正確かつ分かりやすく伝えられることが大切だとわかります。日常生活でのコミュニケーションも同じことが言えますね!
ぜひ採点基準をもとに、自分の現在地をセルフチェックしてみてください。
自分の現在地を知ることで、試験までに何を優先して対策すればよいのかが見えてきます。


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