DELF A1に挑戦する方の中には、今回が初めてのDELF受験という方も多いのではないでしょうか。
「フランス語の口頭試験ってどんなことをするの?」
「どのくらい話せないといけないの?」
「まだフランス語始めたばかりで、自信がない…」
初めての試験では、わからないことも多く、不安に感じることもありますよね。
でも、DELF A1のProduction orale(口頭試験)で求められているのは、難しいフランス語を話すことではありません。
- 自分について簡単に話したり、質問をしたり、日常の身近な場面で簡単なやり取りをしたりする力が評価されます。
採点基準を知っておくことで、試験で何を求められているのかがわかり、どんな練習をしておけばよいのかも見えてきます。
この記事では、France Éducation international(FEI)が公表している公式の評価基準をもとに、DELF A1 Production oraleの試験内容や採点基準、試験官が見ているポイントをわかりやすく解説します。
初めてDELFを受験する方も、ぜひ試験対策に役立ててくださいね。
試験内容と配点
DELF A1のPOは、3つのパートで構成されています。
まず最初にPartie 2で使用するカードを6枚、Partie 3で使用するカードを2枚引きます。
Partie 3では、2枚のうち1つのテーマを選ぶ必要があります。
そのあと、これら2つのパートの10分間の準備時間が与えられます。
準備時間が終了したら、試験官のいる部屋に案内されるので、そのまま3つのパートを続けて行います。
- 準備時間:10分間
- 試験時間:5~7分間
- 配点:25点満点(合格必要最低点5点)
- Partie 1 : Entretien dirigé 自己紹介
-
所要時間:約1分
試験官があなたや家族、好きなことや、活動について質問を投げかけるので、受け答えをします。
例)”Comment vous vous appelez ?”(お名前は何ですか?)
“Vous aimez le sport ?”(スポーツは好きですか?)
- Partie 2 : Échange d’information 相手に質問をする
-
所要時間:約2分
最初にひいた6枚のカードに書かれた単語を元に、試験官について質問をします。必ずしもその単語を使う必要はなく、関連するテーマの質問をします。
例)カード:”Film(映画)” → “Quel est votre film préféré ?”(好きな映画は何ですか?)
カード:”Date de naissance(生年月日)” → “Vous avez quel âge ?” (おいくつですか?)
- Partie 3 : Dialogue simulé ou jeu de rôle ロールプレイング
-
所要時間:約2分
最初にひいた2枚のカードのうちの1枚を選び、そこに描写されたシチュエーションでロールプレイングを行います。
商品やサービスを購入するシチュエーションで、値段や量など商品に関する質問をしたり、希望を伝えて、支払いまでを行います。
例)マルシェで買い物をする、レストランで注文をする etc
採点基準
上記の3つのパートでは一体何が評価されているのでしょうか?
DELF/DALFを運営する”France Éducation international(FEI)”が公表している公式の評価表をもとに、詳しくみていきましょう。
- 評価表:France Éducation international, DELF A1 – Grille d’évaluation de la production orale
- 評価解説:France Éducation international, DELF A1 – Explication de la grille d’évaluation du DELF B1 (production orale)
- 到達度目安:France Éducation international, DELF A1 – Descripteurs de performance de la production orale
採点項目
採点項目は大きく分けて、
- 課題の遂行能力 (Compétences pragmatique et sociolinguistique)
- 言語能力 (Compétences linguistiques)
の2つに分けられます。
①では、パート1から3までの課題の遂行能力、②では全体を通して、語彙・文法・発音の3項目が総合的に評価されます。
| 評価カテゴリー | 採点項目 | 到達レベル |
|---|---|---|
| 【課題の遂行能力】 | 自己紹介 | – 名前・国籍・年齢・生年月日などの質問に答えられる – 家族や住んでいる場所、日常生活など、自分に関する簡単な情報を伝えられる – 試験官に常に誘導してもらうのではなく、ある程度自分で受け答えできる |
| 質問 | – カードに書かれた単語をもとに、自分で質問を作ることができる – Oui/Nonで答えられる質問だけでなく、さまざまな疑問詞(qui / à qui / quoi / où / quel… など)も使って質問ができる – 試験官からの回答を聞き、簡単なやり取りができる | |
| ロールプレイ | – 指示に従って、料金や量など必要な情報について質問することができる – 基本的な挨拶・丁寧表現(Excusez-moi. / Je voudrais… / S’il vous plaît. / Merciなど)を使える | |
| 【言語能力】 | 語彙 | – 課題の場面に合った基本的な語彙を使える – 語彙を完璧に使いこなせなくても、必要な語彙をある程度持っている |
| 文法 | – 現在形の基本的な文法(動詞の現在形の活用、主語+動詞の基本的な文系、女性・男性形、性・数の一致など)が使える | |
| 発音 | – 試験官が理解できる発音で話せる – 母語の発音やイントネーションの影響がまだ残っていても問題ない – 必要に応じて、試験官から聞き返されることがあってもよい |
Partie 1 : Entretien dirigé 自己紹介
このパートでは、名前や年齢、国籍などの基本情報だけでなく、家族・仕事・趣味・住んでいる場所など、自分自身について簡単に話せることが求められます。
よく聞かれる内容に関しては、あらかじめ準備しておきましょう。
また、試験官から聞かれた質問を理解して、その場で答えられるようにしておくことも大切です。
「質問を聞く → 1〜2文程度で答える」練習をしておくと安心ですね。
Partie 2 : Échange d’information 相手に質問をする
A1では質問する力も大切なコミュニケーション能力のひとつです。
日常生活の人間関係と同じように、「相手のことをもっと知りたい」という気持ちで質問をしてみてください。
Vous aimez…? のような「Oui/Non」で答えられる質問だけでなく、
Où…? / Quand…? / Avec qui…? / Quel…? / Combien…?
など、さまざまな疑問詞を使って質問を作れるようにしておきましょう。
カードに書かれている単語をそのまま使う必要はないので、その単語から連想して、自分が作りやすい質問を作るのもポイントです。
相手には関係のない内容や、知りえない情報(「この本はいくらですか?」など)に関する質問は、減点対象となりますので気を付けてください。
Partie 3 : Dialogue simulé ou jeu de rôle ロールプレイ
最初と最後の基本的な挨拶も評価対象となりますので、会話は自分からスタートさせましょう。
挨拶する → 欲しいものを伝える → 値段や必要な情報を聞く → お礼を言って会話を終える
という流れで、自分から主体的にやり取りを進めることを意識しましょう。
Bonjour. / Je voudrais… / C’est combien ? / S’il vous plaît. / Merci. / Au revoir.
など、よく使う基本表現は、考えなくても出てくるくらい何度も口に出して練習しておくと安心です。
各項目の配点
それぞれの採点項目の配点は、「無回答・内容不十分」「A1未満」「A1」「A1+」の4つに分けられます。
| 採点項目 | 無回答・内容不十分 | A1未満 | A1 | A1+ |
|---|---|---|---|---|
| Partie 1 : 自己紹介 | 0 | 1 | 2.5 | 4 |
| Partie 2 : 質問する | 0 | 1 | 2.5 | 4 |
| Partie 3 : ロールプレイ | 0 | 1 | 2.5 | 4 |
| 語彙 | 0 | 1 | 2.5 | 5 |
| 文法 | 0 | 1 | 2.5 | 4 |
| 発音 | 0 | 1 | 2.5 | 4 |
- 無回答・内容不十分
-
発言内容が短すぎて、採点不可、もしくは趣旨から完全に外れている場合。受験レベルを大きく下回るレベル。
- A1未満
-
A1に満たないレベル。
- A1
-
A1レベルに最低限相当しているが、まだ完全とは言えない場合。
- A1+
-
A1レベルに十分に達している、もしくはそれ以上のレベルの場合。
採点ポイント
それぞれの採点におけるポイントをより詳細に見ていきましょう。
Entretien dirigé 自己紹介
- A1未満
-
- 自分自身についての簡単で予測しやすい質問(名前、年齢、国籍、家族など)にはこたえられるが、理解できない質問がある
- 回答が単語だけ、または暗記した表現だけになることが多い
- 試験官が質問を繰り返したり、リードする必要がある
- A1
-
- 自己紹介ができる
- 自分自身や身近な事柄について簡単な情報を伝えることができる
- より詳細な情報を伝えるために、試験官のリードが必要になることがある
- A1+
-
- 自己紹介ができる
- 日常生活の事柄について、簡単な文をつなげながら話すことができる
- 試験官からの質問に、詳細や具体例を付け加えて話すことができる
Échange d’information 質問する
- A1未満
-
- 簡単な質問をすることができるが、提示された単語とあまり関係ない質問になることがある
- 質問のパターンが少なく、似たような質問に偏りやすい
- A1
-
- 比較的バリエーションのある質問ができる
- A1+
-
- バリエーションのある質問ができる
- その後のやりとりに繋がるような質問ができる
Dialogue simulé ロールプレイング
- A1未満
-
- 課題に適したごく基本的な質問(数字、料金、時間など)をいくつかすることができるが、やり取りを進めるために試験官が常にサポートする必要がある
- ごく短い基本的なやりとりができるが、挨拶や丁寧表現を忘れたり、詰まったりすることがある
- A1
-
- 課題をおおむね遂行することができる
- やり取りを進めるためにしばしば試験官のサポートが必要になる
- 基本的な挨拶や丁寧表現を使える
- A1+
-
- 場面に合った表現を使って、課題を最後まで遂行できる
- 積極的に自分からやりとりに参加できる
- よく使われる丁寧表現を使って、一連の短いやり取りを最初から最後まで行える
Lexique 語彙
- A1未満
-
- 初歩的な単語や表現を使えるが、課題を遂行するには不十分な場合がある
- A1
-
- 語彙の幅は限られるが、課題におおむね対応するには十分な語彙がある
- A1+
-
- 課題でのコミュニケーションをすべて行える程度の語彙がある
Morphosyntaxe 文法
- A1未満
-
- 基本的な文法規則に制限がある
- 「主語+動詞」「主語+動詞+補語」のように最低限の語順で文章を作ることができる
- A1
-
- 簡単な文構造や基本的な文法を使うことができるが、正確さに制限がある
- A1+
-
- 簡単な文構造や基本的な文法を正しく使える
- より高度な文構造や文法にもトライしようとしている
Maîtrise du système phonologique 発音
- A1未満
-
- 知っている一部の単語や表現は、ある程度理解できるように発音できる
- 発言全体を理解するために、試験官がかなり注意して聞く必要がある
- A1
-
- 限られた範囲ではあるものの、基本的な単語や表現を正しく発音できる
- 一部の単語については、試験官から言い直しを求められることがある
- A1+
-
- 身近な単語や簡単な表現を正しく発音できる
- 一部の単語を言い直す必要がある場合もあるが、発言全体を通して理解できる
A1レベルでは、すべての課題を完璧にこなす必要はありません。
しかし、「自分からコミュニケーションを取る力」は採点基準のひとつとなってきますので、むしろ間違いを恐れず、会話をリードするつもりで、積極的な姿勢でチャレンジしてみてくださいね。
まとめ│採点基準を知って、A1合格に必要な力を身につけよう
今回は、DELF A1 Production oraleの採点基準について詳しく解説しました。
初めてDELFを受験する方は、「文法や発音を間違えたらどうしよう」、「フランス語でコミュニケーション取るのはまだ不安」と感じることもあるかもしれません。
でも、採点基準を見てみると、A1では完璧に話すことが求められているわけではないことが分かります。
まずは、自分について話す、簡単な質問をする、身近な場面でやり取りをするなど、A1で学んだフランス語を実際のコミュニケーションの中で使えるようにすることが大切です。
そして、フランス語でのコミュニケーションを楽しむマインドもお忘れなく♪
試験対策をするときは、ぜひ一度採点基準に目を通して、
「自分は今どこまでできているかな?」
「どの部分をもう少し練習した方がいい?」
と、自分の現在地を確認してみてくださいね!



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